大学留学を推奨する理由とは何か
ICC国際交流委員会は、留学がまだ"特別"な時代から、30年以上に渡って、留学生を海外へ送り出してきました。大学留学で養われるものは、高い語学力、学力はもとより、自立心、決断力、柔軟性など、今日のめまぐるしく変化する国際社会に飛躍できる社会人としての重要な要素です。
これからはどの分野に進んでも、いずれは国際的な競争力、グローバルなセンスが求められることになるでしょう。ですから、「偏差値」という狭い尺度ではなく、本当に学びたいこととよく照らし合わせながら、日本だけでなく海外も視野に入れて大学を選ぶ時代が来たといえます。
海外の大学へ我が子を送りだすことは勇気と決断がいることです。しかし、日本にいては得られない、国境を超えた友情、国際社会で生きていくための能力を得るための絶好の機会であるといえるでしょう。
留学するにあたって保護者が知っておくべき点とは?
留学費用について
1年間あたりの留学費用は、オセアニア、カナダなどでおよそ150~250万円、アメリカで200万円~400万円、イギリスで250~350万円がひとつの目安となります。この費用には入学申請料、授業料、教材費、滞在費、医療保険料、娯楽費、交通費、渡航費など様々なものが含まれますが、なかでも授業料、滞在費が大きな割合を占めます。授業料に関しては、州立か私立か文系か理系かアート系かを選択するかによって大きく差が生じます。また滞在費についても都会か田舎かによって違いがあり、金額にも幅が出てきます。
また、上記の金額は、留学後にかかる費用ですが、忘れてはならないのは、留学前の準備費用です。英語の準備に塾や予備校に通ったり、民間の留学機関を利用し留学手続きを行えばその分の費用もかかります。留学機関によってはかなり高額な費用を必要とするところもありますので、くれぐれも様々な留学機関を比較検討し、家庭の事情に合った留学機関を選びたいものです。
留学先の治安
「世界一安全な国」と言われていた日本も凶悪犯罪が後を絶たない昨今、世界各国どこにいても、「身の安全は自分で守る」すべを持つことが必要な時代です。
ただ、海外の場合は、安全な地域とそうでない地域がはっきりと分かれている場合が多いですから、まずは大学選びの際に周辺地域の情報を収集し、治安の良い場所にキャンパスがあるかどうかを見極めてから志望校を決めることが重要です。大学の名前や専攻、予算だけにとらわれて大学を選んでしまうと後で後悔することになりかねません。
そして留学後は、「治安の悪い地域には絶対に立ち寄らない」ことが大切です。また治安の良し悪しに関わらず、夜遅くの一人歩きは避ける、交通機関も乗客の少ない車両は避ける、個人情報も簡単に教えないように注意するなど最低限必要なルールを守っていれば、特に危険な目にあうこともなく、快適に留学生活を送ることができると言えるでしょう。
入学と卒業の難易度について
日本の大学に比べると、大学にもよりますが、海外の大学に進学することは比較的容易です。海外の大学は「学びたいものには広く門戸を開ける」精神が浸透していることに加え、日本の大学入試制度に相当するものはありません。大学留学ほぼ書類審査(これまでの成績)のみで、合否が判定されます。
しかしながら、卒業することは決して楽ではありません。受け入れには寛容ですが、真剣に学ぶ者だけが卒業できるのが海外の大学のシステムなのです。一旦入学してしまえば卒業がほぼ約束されている日本の大学に較べ、勉強に追われる海外の大学では、簡単には卒業証書は手に入りません。親子で大学留学を考えはじめたとき、まず忘れて欲しくない重要なポイントです。
ただし海外には様々な特徴を持つ大学があり、すぐれた少人数制のカリキュラム、丁寧な留学生サポートを提供し、高い卒業率を誇る大学も少なくありません。ですから、必要以上に怖がらず、卒業するために最も相応しい環境を考慮しながら大学を選ぶことが大切だといえます。
卒業後の進路
卒業後の進路として一般的なのが「日本企業への就職」です。ただし、日本の大学と卒業時期がずれる留学生は、「日本企業の新卒採用スケジュールに合わないのではないか?」と危惧される保護者もいるでしょう。しかし現在では世界各地の留学生を対象とした「就職フェア」に日本企業も数多く名を連ね、留学生の卒業時期に合わせ秋の新卒採用募集を行う企業も増えています。グローバルに展開する日系大手企業は、日本の大学生よりも、むしろ海外の大学を卒業した日本人を積極的に採用する傾向にあります。自立心、国際感覚、語学力、専門知識を身につけた人材は、企業にとっても魅力的なのでしょう。
この他、「大学院へ進学」する選択肢や、「現地就職」する可能性も広がるのが大学留学のメリットといえます。